大ヒット商品「BARIOUS BARIGUARD3(ベアリアス バリガード3)」を成功に導いたのは、商品力×ブランドの世界観です。「BARIGUARD3」がどんなに優れた商品でも、ノンブランドで売り出したのでは、ヒットまでの道のりは長く険しいものだったかもしれません。今回は自社ブランド「BARIOUS」の生みの親であるメーカー事業部・向井さんに、ブランドと商品の開発秘話を詳しく伺いました。

市場ニーズから誕生。BARIOUS開発秘話

「これは売れそうだ」。

Apple Watchが世の中に浸透し始めたころ、ネット市場で人気が高まりつつあった商品に出会いました。Apple Watchの専用ケースです。

当時はまだまだ「Apple Watchに保護ケース?」という時代。それでもアイテムの将来性に強く惹かれた私は、既製の商品を仕入れて販売を始めました。2015~2016年ころの話です。今思えば、このときの判断がのちのアウトドアブランド「BARIOUS」の誕生につながったともいえるので、当社がブランドビジネスを展開するターニングポイントだったのではないかなと感じています。

当社最大のヒットブランド「BARIOUS」は、既存の商品に改良を加え、自信を持って「売れる」と信じられる商品が完成したときに生まれました。

それまでは、「TPU素材では分厚すぎて操作しにくい」という意見があれば、ハードケースに変えて操作性を改善する。耐水性がない、ケースとApple Watchの間に水が入り込んで不便と気づけば、密着性を高め防水機能を持たせる。チープさがネックだと感じれば、Apple Watchをベンチマークにしてデザインを磨くなど、お客様の声に耳を傾け、商品の使いやすさをとことん追求して、より市場のニーズを満たす商品開発にじっくりと取り組む時間が必要でした。

ひなたの商品開発では、市場が求めているものを徹底的に追求することを重視しています。その方針を突き詰め、完成度を最大限に高めた商品が「BARIGUARD3」です。渾身の自信作にはぜひ特別なブランド名をつけて戦略的に売り出したい。そんな熱い想いを胸に抱き、ブランド名「BARIOUS」を冠した商品を世に放ちました。

 

BARIOUSの世界観が商品価値を高める

「BARIOUS」は、英語の「Bear(クマ)」と「Various(さまざまな)」を組み合わせた造語です。豊かさの象徴であり気高き存在として信仰されるクマのようなブランドに成長してほしいという願いを込めて名づけました。

「Bear」にはクマ以外にも、産む、(実や花などを)つける、(感情を)抱く、身につける、持つ、振る舞う、支えるなど多様な意味があります。「BARIOUS」の商品をお客様が身につけることで、気分が上がるようなさまざまなプラスの感情を抱いていただきたい。そのためにも魅力あふれる商品を産み、価値を振る舞い、人々の生活を支える存在になりたい。ブランド名には、そんな深い想いも込めています。

Apple Watchと遜色のないスタイリッシュさと高級感、機能性を併せ持つ「BARIGUARD3」。そのままでも魅力あふれる商品に、「BARIOUS」の世界観を合わせてみると、相乗効果でブランドも商品自体の価値も格段に高まったように見えました。完全に「売れる!」と確信した瞬間でしたね。

ブランド力、商品力の高さから、「ヒット間違いなし」と思えたので、広告費を通常の3倍かけて発売前からネットや雑誌などで集中的にアピールしました。人気YouTuberとのコラボが当たったのも成功した理由だと思います。Apple製品を紹介しているインフルエンサーに商品のアピールを依頼したところ、注目度が爆発的に上がりました。

これらの広告戦略が見事的中し、リリース当初から大きな反響を得て、Amazonランキング1位を獲得することができました。今も、ランキング上位をキープしています。

いずれにせよ「BARIOUS」というブランドの世界観がなければ、累計販売個数19万個を超えるヒット商品となるまでには、さらに長い時間を要しただろうと思っています。

「ほしい」を探り、ファンの期待に応える

「BARIOUS」はApple Watchと一緒にプレゼントしても見劣りせず、いつも身につけていたいと思えるブランドです。アウトドアブランドを謳っているため、将来的にはアウトドア商品を手がけることも視野に入れていますが、まずは需要の高いApple Watch専用アクセサリーを充実させることを優先したいと考えています。

たとえば、Apple Watchユーザーはカスタムをたのしむ人も多いので、「BARIGUARD3」よりも少し安価なモデルや逆に高価なハイスペックモデルをラインナップに加えたり、バンドなどの周辺アイテムを増やしたりと、ニーズをしっかりリサーチして「BARIOUS」を愛するファンの期待に応えていきたいですね。

「BARIOUS」のヒットを経験して、ニーズを捉えニーズを満たすことこそがブランドを強くし、ブランドビジネスを成功させる秘訣だと学びました。この成功事例を糧に、市場のあらゆるニーズに応えるべく、価値あるブランド商品を提供していきたいと思います。