販促だけでは商品は売れません。お客様の「買いたい」気持ちは、商品の魅力、ブランドの世界観、価格、サポート体制などが一体となったときに高まります。
今回は、ひなたの全商品の販売戦略を担う、販売事業部の岩谷さんにお話を伺いました。
トータルブランディングで価値を最大化
私たちが扱う商品のテーマは、時代が変わっても愛されるもの。
当社は4つの自社ブランド商品を中心に幅広いアイテムを取り揃えていますが、商品開発・選定で意識しているのは、こちらが売りたい商品ではなくあくまで市場のニーズです。徹底的なリサーチのもと、トレンドに敏感でありながら決してトレンドに惑わされず、普遍的な価値のあるアイテムを展開しています。
当社の譲れないこだわりは、ブランドのオリジナル商品でも簡易OEM商品でも、必ずひなたならではのエッセンスを添えることなんです。市場に似たような商品があっても、「こっちがいいね」と選んでもらえるように、付加価値のある商品の提供をぶれずに貫いています。
そうしてこだわり抜いた商品の魅力やブランドの世界観を、どう伝えるのか。
いわゆる販売戦略を担うのが販売事業部ですが、私たちは「販促だけに注力すればいい」とは捉えていません。なぜなら、とくにブランド商品にいえることなんですが、ブランド価値を維持するには、商品開発だけ、販売だけ、カスタマーサポートだけと区切ることはできず、トータルでコントロールすることが不可欠だからです。
たとえば、商品を購入して問い合わせたときに横柄な対応をされたら不信感につながりますよね?いくらブランドに魅力があっても、信頼が損なわれればお客様は離れていってしまいます。
ひなたではお客様の期待を裏切ることのないように細部にまで目を配り、ブランドや商品価値の向上に全力を尽くしています。そうすることで、当社に対する信頼にもつながると思っています。
「ほしい」を加速する見せ方にこだわり
今の時代、ワクワクドキドキする要素がなければ商品を買ってもらえません。
お客様の購入動機は千差万別ですが、ECでは、商品力にプラスして魅力的な見せ方や売り方ができなければ、どんなにいい商品でも埋もれてしまうんですよね。なので、商品やブランドページでは、「ほしい」と興味を引くポイントをつくり、いかにお客様の背中を押せるかが大切になってきます。
当社はAmazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどECモールでの販売がメインなので、各モールの特性を見極めて、商品の魅力が最大限に引き出せるようなページづくりを意識しています。なかでもAmazonなどのブランドページで重視しているのは、ブランドの世界観をしっかり表現して、お客様に商品を購入した先の幸せな姿を想像してもらうことです。
アウトドアブランド「BARIOUS」のヒット商品「BARIGUARD3」の例でいうと、当初ターゲットを30代男性に設定していたのですが、ビジネスパーソンが汗だくで働くシーンを見せても心に響きませんよね。海外の山をトレッキングしている姿や、スポーツに没頭している姿を見せたほうが素敵ですし、「これをつけて出かけたらカッコいいし便利そう」などと想像も膨らみます。
私たちはプレゼントニーズも意識しているのですが、理由は自分のものを選ぶよりも他人にプレゼントするものを選ぶときのほうが、一段ハードルが上がるからなんですね。そこをクリアする商品であれば、自分へのご褒美としてもプレゼント用としても購入してもらえると思います。
もちろん、売上UPのためには、ECモールごとのセールイベントに合わせて、的確な販促を打つことも重要です。
商品数×価格×サポート力で購入動機を高める
納得感のある価格やショップ体制は、「買いたい」と思わせる大事な要素です。高品質の商品が手を出しやすい価格で手に入り、かつ品質保証や納期、サポート体制も万全となれば、購入のハードルはグンと下がりますよね。とはいえ、価格を下げるために仕入れ先に無理な値下げ交渉をするという姿勢では、良好な取引を継続できず、関係性が崩れてしまいます。
当社は、品質を維持したまま魅力的な価格を実現するには、企業努力と工夫が大事だと考えています。なので、社内の受発注をシステム化したり、一括納品や自社物流で配送コストを下げたりして効率化を図り、お客様が買いたくなる価格を追求しているんですね。
さらに付け加えると、お客様の声を商品に反映させることも重要なポイントです。
商品の販売前には社内で徹底的に使い込んで、どんな性質の商品なのかをしつこいほど確認していますが、販売中のものでも、お客様からの問い合わせで事前に拾い切れなかった改善点が見つかれば即座に対応しています。改善が難しいものは販売継続の可否を検討して商品を取り下げることもあり、これを繰り返すことで、商品ラインナップに磨きをかけています。
お客様の声は本当に宝物です。私自身は、どんなご意見でも「そんなことはありえない」と受け流さず、きちんと立ち止まって適切に対処することをいつも意識するようにしています。
また、表面だけを取り繕った施策を打っても売上にはつながらないので、商品力を磨き、ブランドの世界観でイメージを膨らませ、魅力ある価格やサポート体制で惹きつける。まさに全体を俯瞰で見て最善の策を打つことで、販売事業部の役割を果たしていきたいと思っています。